エンジンオイル以上に交換しないとヤバイ物

このページを読んでくれている方はエンジンオイルを交換しないとヤバイことになるのは知っていると思います。
スゴく簡単に最悪のパターンを言うと、ピストンが焼き付いて、車が走らなくなります。
そうなってしまったらエンジンをそっくり交換しないと駄目ですね。
車の種類にもよりますが、20万コースでしょうね。
それでも、エンジンを交換すれば直ります。

実はエンジンオイルよりも交換を怠るとヤバイ、大切なオイルがあるんです。

それがブレーキオイル(ブレーキフルード)なんです。

ブレーキになぜオイルを使う?

今流行りの電気自動車だろうがなんだろうが、ブレーキにはオイルが必要なんです。
と言っても、オイルで直接ブレーキを掛ける訳ではなく、足で踏んだ力をブレーキに伝えるのにオイルを使っています。
なぜオイルを使うのか?そこにはきちんと理由があります。
ワイヤーで引っ張る方式だと、もしワイヤーが切れたら終わりですよね。それに、ワイヤーが錆びてもダメですよね。
金属なんて簡単に錆びます。それに伸びます。なので、金属ではダメです。

では、オイルの代わりに空気じゃダメなのか?
これも全くダメです。
ブレーキを踏んで車が止まるのは何故か分かりますか?
車の動いているエネルギーを、熱に変えて車は止まるんですよ。
思いっきりブレーキを掛けて止まった時に、ホイールを触って見てください。
ヤケドします(-_-;)
それぐらいブレーキを掛けると熱が発生するんです。
そんな場所に空気ではダメです。
熱によって膨張してしまいます。
いくら踏んでも力が伝わらないんです。

なら水ならどうかと言うと、水は沸騰すると気体になります。
ブレーキを踏むとあっという間に200度なんて超えてしまいます。
水は瞬時に気体になってしまい、まるで力が伝わらなくなります。

という事で、オイルの出番です。
沸点の高いオイルを使うことで、ブレーキングの際の熱でも気体になりません。
金属のワイヤーと違って錆びたり、切れたりすることはありません。
もし、オイルが漏れてしまった場合も、ワイヤーより分かりやすいんじゃないでしょうかね。

という事で、ブレーキとブレーキフルードは切っても切れない関係なんです。

ブレーキフルードを交換しないとどうなるのか?

最悪、ブレーキが効かなくなります。
いくらブレーキを力強く踏んでも、車はさっぱり止まらなくなります。
自分でやったことはないですけど、絶対にブレーキが効かなくなるんです。
ちゃんと理由があります。

順を追って簡単に説明します。

  1. ブレーキを踏む度にブレーキフルードは高温にさらされる
  2. オイルと言えども劣化する。大気中の水分を吸収する(性質上必ず水分を吸収)
  3. どんどん水分を吸収する(警告灯は点灯しない)
  4. ブレーキフルードと水分が混ざっった状態になる
  5. ブレーキを踏んで高温になった時に、フルード内の水分が真っ先に蒸発し、気体になる
  6. 気泡が出来てしまったら、いくらブレーキを踏んでも、その空気の層が伸縮を繰り返すだけで、車は止まらなくなる
  7. きっとスゴく焦る(-_-;)。最悪事故る

というような事が、容易に想像出来ます。
『ヴェーパーロック』っていう呼び名も着いていたと思います。
直訳では『蒸発して固定される』っていうような感です。
違っていたらちゃんと調べますので、コメント下さい(-_-;)

ブレーキフルードを交換しないからといって、車が故障するわけでは無いです。

交換しないと、事故を起こすんです。

エンジンオイルは交換しなくてもエンジンが壊れるだけです。
しかし、ブレーキフルードを交換しないともっと悲惨な事になりかねません。
人が横断中の歩道に突っ込んだなんてシャレにもなりませんからね…。

どうやってブレーキフルードを交換するのか?

整備士になる前、ミニに乗っていた時は結構自分で部品交換をしていました。
エンジンオイルなんかも自分でしていました。
けれど、ブレーキフルードは無理でした。
というよりも、知りませんでした…。

自分が整備士になってから、車検で入庫した車はブレーキフルードを交換することを覚えました。

結論は、素人が交換する事は無理です。
難易度が高すぎだし、リスクも高すぎます。

交換する時に空気を入れては絶対にダメです。
今なら、ブレーキの踏み心地でエアが入っているかどうかは分かるようになりましたが、昔なら解らなかったでしょう。

きちんとした認証工場に車を持って行きましょう。
車検の時には交換するはずですから。

ガソリンスタンドでなんかでやってる、安いやつではダメですよ。
あくまで車検を受けるだけですから。
整備はしないし、保証とかもないです。
新車で買って、初めて車検を受けるような車なら、それでも大丈夫でしょうけどね。
車検に受からないような部分があると、結局ウチらのような整備工場に入って来ます。
その時は通常より2割増しぐらいの工賃がかかっています。
普通に車検時なら1万円の工賃が、1万2千円になっちゃいます。
ちゃんと工賃表ってのがあって、車検時と通常時って差があるんです。

安物買いの銭失いにならないように気をつけてくださいね。

車の事をちゃんと理解しましょう

車の仕組みなんかを分かって下さいと言っている訳ではありません。

車は便利なモノです。

地方では特にそうです。
家に車がなければ通勤は出来ない、買い物にも行けない、病院にも行けないというような大事な交通手段です。
しかし、とんでもない破壊力を持っています。

人混みに突っ込めば、爆弾なんかよりも簡単にテロを起こせます。
それが、本人の意志であろうとなかろうとも、生身の人間に当たれば間違いなく車が勝ちます。

ブレーキフルードを交換しないで、ブレーキが効かなくなれば、自分の意志とは無関係にそういった状況になるかもしれません。

それだけ、ブレーキは大事なんです。

にも関わらず、スタンドで『無料でエンジンルームの点検しましょうか?』と言ってもブレーキフルードまでは見ません。
と、言うよりも見ても分からないです。

 

人の命を奪うかも知れない車。

車検はかなりのお金が掛かりますけど、それは仕方ないんじゃないでしょうかね?